この建物はイラストレーターのアトリエ兼ギャ
ラリーを併設した住宅として、最寄り駅まで徒歩
2分という近隣商業地域内ではあるが落ち着いた
裏通りに面した敷地に計画された。
間口6m、奥行き12mの細長い敷地に幅3m、
奥行き10m、計6層のスキップフロアのメイン
ボリュームを配置し、それに1階と2階を繋ぐ吹
き抜け空間を接続させた構成となっている。
1階がアトリエ兼ギャラリー、2・3階が住居で
あるが、細長いメインボリュームがスキップフロア
であることも相まって吹き抜けや階段を通して1階
から3階までがひとつながりの空間となっている。
しかしそれは、ひとつの大きな吹き抜けを介してで
はなく細長い空間が垂直に立ち上がったり折り返し
たりしてつながっているため内部空間全体を見通せ
る視点はなく、明るさや広さ、床や天井のレベル等の
差異により緩やかに領域分けされた場の連続として
認識される。
このことは内部/内部の関係だけではなく、狭い敷地
でありながら大きく引きをとった玄関へのアプローチ
や吹き抜けの縦長の開口部越しに見え隠れする内部
空間、道路に直接面する部分のみ半階分床レベルをあげ
狭い前面道路を行き交う人との視線をずらすなど内部/
外部の関係にも適応されている。
それぞれの場相互の関係性に応じて境界部分の連続性を
コントロールすることにより、空間的・物理的な距離だけ
ではなく心理的な距離感の差をもたらし、結果として、
狭小住宅でありながら多様な空間体験を可能にしている。
このようにこの住宅は前面道路も狭く床面積も大きくは
無いが、各境界部分を曖昧かつ多様にすることにより、
十分な拡がりの感じられる住宅となった。
所在地 :神奈川県藤沢市
主要用途:専用住宅
設計監理:TSKアソシエイツ 大塚誠
構造設計:NCN 松岡忠生
施工 :峯村ホーム 大垣明弘
構造 :木質ラーメン構造(SE構法)
一部RC造
規模 :地上3階 一部2階
敷地面積:70.98 m2
建築面積:38.85 m2
延床面積:89.15 m2 (床下収納含まず)
設計期間:2005年6月〜2005年12月
工事期間:2006年2月〜2006年 7月
外部仕上
屋根 :シート防水一部塗膜防水
外壁 :モルタル仕上げ吹き付けタイル
開口部:アルミサッシ
内部仕上
床 :木フローリング
一部モルタルウレタン仕上
壁 :ビニルクロス
天井 :ビニルクロス
写真撮影 中川敦玲(左から3枚目のみ大塚誠)