西武池袋線東久留米駅から歩いて5分ほどのところにこの教会は計画された。周辺は幹線道路沿いこそ中高層集合住宅が建ち並ぶが、一本奥に入ると戸建住宅はもちろん畑や農家も残る地域である。久留米キリスト教会は1960年代始めに家庭集会からスタートし、現在では約150人の教会員が所属している。現在の小さな赤い屋根の会堂は教会員が貯金を出したりアルバイトをするなどして献金したお金で建てられたものだそうだ。
そのような経緯や特定の宗派に属さない単立教会ということもあって、今回の計画において私は久留米キリスト教会を150人の家族が集う家だと考え、ひとつの家族の象徴として全体をひとつの架構のシステムで覆うことを考えた。厚さ300mmのコンクリート板で出来た門型(家型)を長さ760mmで輪切りにしたものを構造的な基本単位とし、560mmの隙間をとって並べ、その隙間が開口部となっている。
左/礼拝堂内部、祭壇を望む
この教会は全体が曖昧に連続するひとつの大きな空間であり、そこに祭壇・台所・北庭の十字架等の要素を接続することにより、それらの周辺がそれぞれの空気を持つように考えられている。一方、教会内で行われている様々な活動の雰囲気は他の場所にいても感じられる。例えば2階の会堂で礼拝が行われている時には吹抜けを通して教会全体に礼拝の空気が広がるだろう。2階は礼拝、1階は別のことという関係ではない。
また、少人数のでの礼拝、バザー、結婚披露宴など多様な使われ方が想定されるため出来る限り空間のフレキシビリティを確保すること、礼拝堂という極めて精神性の高い空間へのアプローチ空間に配慮することなどが合わせて検討された。